子宮内膜症 4分で知る全体像(症状と治療)



子宮内膜症とは~長く続く「痛み」が典型的症状


子宮内膜症しきゅうないまくしょう)」は、特に20代半ば~40代の女性に多く見られる病気です。

ただし月経のある年代ならば、年齢がいくつであっても発症の可能性はあります。


子宮内膜症という病気は基本的には良性で、発症によって死に至るような恐ろしい病気ではないのですが、閉経するまではまず完治することの無い、再発性のある病気です。

国内の子宮内膜症の患者数は、潜在患者数を含めて100~200万人といわれます。

  • 子宮内膜症とは(JEMA/日本子宮内膜症協会)


  • 子宮内膜症の典型的な症状は、ズキズキとうずくような耐え難い痛みが長く続くことです。


    年月が経つにつれ、この痛みは長引いたり強まったりするようになり、市販の鎮痛剤では抑えられないくらい痛むときもあります。

    とりわけ痛みがだんだん増しているように感じた場合は子宮内膜症が強く疑われるため、病院で検査したほうがよいでしょう。

    これは月経痛が強いという面も確かにありますが、月経痛以外の痛み、すなわち腰痛・排卵痛・排便痛などが月経の時期に関係なく起きるためです。


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    月経時以外や月経痛のほかに痛みが起きる理由は、子宮内膜症という病気の特性に由来します。

    子宮の内面をおおっている粘膜を「子宮内膜」といいますが、これは受精卵が着床するときに、その組織が厚くなって妊娠に備えるという大切な役割を果たします。


    女性のからだはほぼ4週間を1サイクルとして、排卵と月経を繰り返していますが、受精卵の着床(妊娠)が無いと子宮内膜の組織ははがれ落ち、出血(月経)が始まります。


    そして月経が終わると、子宮内膜の組織は卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの作用によってふたたび増殖し、次の受精卵の着床を待ち受けるというように、「増殖→剥離→増殖のサイクル」を活発に繰り返しているのです。


    子宮内膜は本来、子宮の内側だけにあってしかるべきなのですが、卵管や卵巣、直腸の表面などの子宮から離れた場所に「子宮内膜組織が勝手にできてしまう」のが子宮内膜症なのです。

    したがって月経以外の時期や、子宮以外の場所において痛みがおきることになります。


    ちなみに、なぜ本来の場所以外に子宮内膜組織ができるのか?という原因については、複数の有力説が存在しているもののまだ未解明のことも多く、その特定にまで至っていません。


    なお痛み以外の症状としては、月経異常・消化器の異常や吐き気、頭痛やむくみのほか、イライラや不安感といった精神症状などがあります。


    検査~診断の難しさ


    子宮内膜症は診断の難しい病気で、よく「月経困難症(月経時にけいれん性の下腹部痛や腰痛が起きる)」や「子宮筋腫(子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍)」と間違われることも珍しくないようです。


    子宮筋層内に子宮内膜症が起きた場合は、子宮筋腫と同じような症状を示すことから、区別が難しい場合があるためです。

    したがって、診断を受けるときは、問診時に現在の症状、すなわち発生時期・期間・頻度・症状の程度などについて、できるだけ具体的かつ正確に医師に伝える必要があります。


    また、一医療機関での診断結果に納得がいかない場合には、他の病院も受診し、いわゆる「セカンド・オピニオン」をとることも検討すべきでしょう。


    問診後は通常、医師が子宮や卵巣の様子を触診する「内診」が行われますが、このときに場合によってはMRI検査やCT検査、超音波エコーなどが行われることもあります。

    これらはみな「臨床診断」に属し、子宮内膜症であろうと推定すべきかどうかが診断されることになります。


    診断の精度は6~7割といわれますが、事実として確実に子宮内膜症かどうかは、実際に治療をかねた手術を行わない限りわからないのが、この病気なのです。


    「子宮内膜症は不妊の原因になる」は本当か


    「子宮内膜症が不妊の原因になる」という説がありますが、これは子宮内膜症の症状が進行し、卵管に癒着が起きて卵子をとりこめなくなったような場合のことです。


    子宮内膜症だからといってそのような状況にならない場合ももちろんありますから、子宮内膜症イコール不妊ということでは、決してありません。そこは誤解のないようにしましょう。


    不妊の理由はいろいろ考えられることから、子宮内膜症が直接的な原因とは言い切れないケースもたくさんあるからです。


    だからといって、産婦人科の診察も受けず子宮内膜症を放置することは、賢明とはいえません。

    なによりも痛みに耐えながら日々の生活を続けていると、いわゆる「生活の質」が下がることになりますし、子宮内膜症が不妊の原因となっているかどうかも、結局は診察を経てみないとわからないことだからです。

    事例として多くはないものの、転移や悪性化などのために、子宮や卵巣の摘出が必要な事態にならないとも限りません。


    逆に、「妊娠すれば子宮内膜症は治る」というのも誤解と言えます。

    妊娠中や授乳中には月経が無くなるため、一時的に子宮内膜症の症状が出なくなるというのが正しい状況で、生理が再開すれば子宮内膜症もまた進行することになります。


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    治療~対処療法・薬物療法・手術


    現在の治療の基本は、「経過観察」ないし鎮痛剤や神経ブロックによる「対処療法」、またはっきりと症状があらわれた場合は「薬物療法」や「手術」となります。


    上にも述べたとおり、子宮内膜症は完治が難しいこともあって「いかに病気の症状を取り除いていくか」が治療の基本的な方向となります。


    一般に未婚・既婚を問わず、これから妊娠したいと思っている人の場合は第一選択として「薬物療法」が試みられ、薬がほとんど効果がない・すでに子供が多くいる・高年齢であるなどの場合は、「手術」が積極的に検討されることになります。


    薬物療法においては、一般には長期治療を目的とした「低用量ピル」が用いられます。

    本来は避妊を目的とするのがピルですが、排卵が抑えられることから、子宮内膜の増殖を抑える効果があります。


    子宮内膜症に伴う月経困難症の薬として、2008年には「ルナベル」、2010年には「ヤーズ」、2013年にはルナベルの超低用量タイプとして「ルナベル配合錠ULD」が、それぞれ承認されています。

    これらはいずれも女性ホルモンの分泌をなだらかにする「低容量ピル」であり、子宮内膜の増殖を抑えつつ、頭痛・腹痛・腰痛・吐き気などの症状を和らげてくれます。


    低容量ピル以外では、女性ホルモンに直接働きかける経口薬「ディナゲスト(黄体ホルモン剤)」が2008年に登場しています。

    子宮内膜の増殖を抑える働きがあり、月経に伴う痛みや更年期障害の症状などの副作用を起こしにくいとされますが、一方で子宮内膜が剥がれやすくなり、不正出血が起こりやすくなるデメリットもあります。


    もう一つ、子宮内膜症に必要な女性ホルモンの分泌を抑えることで、その病変を抑えながら治療しようというのが「GnRHアゴニスト製剤」です。

    リュープリン」などの製品名で注射薬や経口薬として出ていますが、副作用として骨密度の低下等が指摘されているため、服用が6ヶ月以内に制限されています。


    他にも内服薬の「ダナゾール」、点鼻薬の「スプレキュア」や漢方薬(桂枝茯苓丸[けいしぶくりょうがん]・当帰芍薬散[とうきしゃくやくさん]・加味逍遥散[かみしょうようさん]等)など、効き目の強さが異なるさまざまな薬があります。


    いずれも症状の推移や副作用の有無に応じ、数ヶ月単位で投与されることになります。

    ちなみに上であげたような薬は、いずれも健康保険の対象となっています。



    薬物療法では効果がない、あるいは症状がかなり進行している場合には手術が行われることになります。

    手術は、子宮や卵巣を残したままで子宮内膜組織や筋腫を取り除く「保存手術」と、子宮や卵巣そのものを全摘出する「根治手術」に分かれます。


    子宮内膜症の治療においては、治療期間が長くかかること・完治が難しいこともあって、どうしても不安やストレスを抱え込むことになりがちです。


    家族やパートナーへも十分に説明し、理解と協力を得ながら、正しい知識と最新の医療情報を入手するよう努める必要があります。

    加えて、かかりつけの専門医にいつでも相談できる状況をつくると同時に、ストレスをためこまないように治療に向き合うことが大切です。


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